宿場町の痕跡が残る松戸でお散歩デート!

戸定邸

今回は千葉県の松戸市を紹介します。江戸時代には水戸街道の松戸宿として栄え、里見八犬伝にも登場します。明治には野菊の墓などに登場し、国府台合戦といった歴史の舞台になってきた松戸には隠れた魅力がいっぱいです!

松戸とは

松戸市は人口が千葉市、船橋市、市川市に次いで千葉県で4番目に多い市です。

現在では東京のベットタウンとして住宅が数多く立ち並ぶ街です。今までは隣の市ということでたまに訪れることがありましたが、今回は史跡をメインに散策していきたいと思います。

現在の松戸駅周辺は、古くから宿場町として栄えていました。水戸街道の3番目の宿場です。水戸街道が通っていた影響もあり、水戸徳川家とのつながりが強く、史跡も水戸徳川家関係の場所が数多く存在しています。

徳川家ゆかりの地 戸定邸

まずは水戸藩最後の藩主、徳川昭武が作った別邸「戸定邸」を目指します。松戸駅南口から常磐線と平行に徒歩10分程度南下すると、丘が見えてきます。ここが戸定邸です。「旧徳川昭武庭園」は国の名勝として登録されています。

戸定邸中庭

早速入ってみます。歴史館もあるので共通券を購入し、まずは戸定邸へ。

戸定邸内部

とても静かで、松戸駅前の喧騒が嘘のように感じます。たまに通る電車の音すら心地よく感じてしまいます。

戸定邸

お庭も綺麗で、縁側で座って眺めていると時間の経過がゆるやかに感じます。恋人と2人でまったりデートしたい方にはおすすめです。

混雑しているわけでもなく、雑踏から離れてゆったりと二人の時間を共有できると思います。

松戸市戸定邸歴史館

次に歴史館に入ってみます。ここの歴史館は規模が小さいながら、ほぼ全ての展示品に説明が書いてあるので、展示品の数のわりに、全て読みながらだと意外と時間がかかります。

松戸市戸定歴史館

もちろん水戸徳川家のゆかりの品がほとんどを占めています。徳川昭武はかなりの趣味人だったらしく、彼の作品も数多く展示してありました。

戸定邸と歴史館共通券で240円なのですが、十分元が取れた気分になります。

 

松戸宿の散策

さて、それでは線路を渡り、旧松戸宿のあった北側を目指します。

松戸宿は矢切の渡しの手前の宿場なので、水戸街道の中でもかなり大きな宿場でした。

今は住宅地となっていますが、本陣跡はマンションの前に石碑が残っていました。

松戸宿本陣跡地

このような石碑や説明板を読むたびに思うのは、「歴史を伝えようとする人の心はいつの時代も変わらないのだなぁ」ということです。

松戸を守る松戸神社

松戸神社を参拝します。

江戸時代の創建で松戸の総鎮守として、この地を400年ほど見守ってきたそうです。

松戸神社

初めて訪れたので、ばっちり御朱印をいただきました。宿場町の時代から東京のベットタウンに至るまで、時代とともに変化していく松戸を見守っていた神社です。御朱印は神社に向かって右側の社務所でいただくことができます。

さて、それでは矢切方面に向かっていきましょう。

矢切の渡し

江戸川の土手に出て、市川方面へ。

15分くらい歩いたでしょうか。石碑を見つけました。矢切は現在では北総線が通っていて、駅があります。矢切は伊藤左千夫の「野菊の墓」の舞台となった場所です。この作品は明治を代表する名作であり、何度もテレビドラマ化や映画化、舞台化されているので、読んだことがなくても、聞いたことある方も多いかと思います。ゆえに矢切は「野菊の墓」ゆかりの地となっています。そのほかにも、後北条氏と里見氏の戦った、第二次国府台合戦の舞台です。

「野菊の墓」といえば思い出すのが、
「私は野菊が好き、半分おくれよ」
「あなたは野菊のようだ」
「え、どういうこと?」
「僕は野菊が大好き」
という部分ですね。当時は時代の背景もあり、身分も違う、そしていとこ同士のため、あまり感情を表に出せなかったのでしょうね。その仕返しに「竜胆(リンドウ)」で民子が政夫に反撃するのも印象に残っています。

純愛が描かれて、読んでいると初恋を思い出す・・・そんな小説です。

「野菊の墓」は名作なので是非オススメいたします。

野菊の墓文学碑

こちらは現在の矢切の渡しです。政夫が市川の方へ下っていく、別れのシーンで作品にも登場します。

現在では、

冬季 土日祝日 10:00~16:00頃

夏季 毎日   10:00~16:00頃

対岸の柴又との間を200円で運行しているようです。

矢切の渡し

最後はそのまま矢切駅を目指し、西側の丘のほうに登って行きます。

国府台古戦場

途中には国府台の古戦場跡を発見。

国府台古戦場碑

北条氏と里見氏の戦いに思いを馳せます。

このあたりからは、江戸川方面は見渡しがよいので、里見方にかなり有利だったのではないか・・・・

同じように、台地の上に城を築き、里見もこの夕日を眺めていたのかも・・・

など、歴史ファンの妄想を満喫し、駅へ。

5分ほどで矢切駅です。

水上勉旧居跡

ちょっとしたおまけですが、現在の矢切駅のある場所は、水上勉の住居があったそうです

水上勉旧居跡

水上勉は昭和の作家で代表作に、悲恋を描いた「越前竹人形」や、童話の「ブンナよ、木からおりてこい」、直木賞を受賞した「雁の寺」などがあります。

越前竹人形は越前の国を舞台にした悲恋の物語です。

 

隣の市で、よく車で通ったり、駅の周りで買い物をしたりする松戸市ですが、実際歩いてみると知らないところばかりでした。やはり歩かなければ、土地のことなど分からないのですね。

皆さんもぜひ、松戸に足を運んでみてください!

詳しくはこちら

戸定歴史館

矢切の渡し